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英語世間話、これ英語でどう言うの?

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「箱根で水蒸気噴火のおそれ」英語では

2015年05月10日


 

 「水蒸気噴火」にあたる英語はいくつかある。steam eruptionphreatic eruptionなどだ。phreaticといのは「地下水の」という意味だ。

 

  火山活動や地震などの世界的な研究機関であるU.S. Geological Surveyアメリカ地質調査所)のサイトを眺めてみると、どちらの言葉も使われているが、日本語話者にはsteam eruptionが平易でわかりやすい。

 

 箱根で水蒸気噴火のおそれがあると、気象庁はこのほど発表した。これを英語ではどう言うか。ポイントは「おそれ」をどのように訳すかだ。少なくとも二つの訳し方がある。ひとつは、

 

 

 

   A possible steam eruption of Mount Hakone was reported.

 

 

 

で、これを直訳すると「箱根山で水蒸気噴火が起こりうることが報告された」。もうひとつは

 

 

 

  The risk of a steam eruption at Mount Hakone has increased, the Japan Meteorological Agency says.

 

 

 

これは「箱根山で水蒸気爆発のリスクが高まった、と気象庁は言っている」だ。

 

噴火予測などの科学的な文脈でも日本語では「おそれ」という情緒的な表現をするが、英語ではこのような文脈では「恐れ」にあたるfearという言葉は使わない。「可能性(possibility)」や「リスク(risk)」などのサイエンスの言葉が使われる。

 

もちろんfear of a steam eruptionとかfear of the eruptionという言い方もある。これらは「水蒸気噴火の恐怖」とか「噴火への恐怖心」などというまさに感情的な文脈で用いられる。ひとつだけ実用例をあげておく。

 

 

 

   An additional 15,000 people evacuated voluntarily due to their fear of the eruption, even though they were not within the declared danger zone. "Report on Mayon (Philippines)," Global Volcanism Program,Department of Mineral Sciences ,National Museum of Natural History,Smithsonian Institution, May 1978)

   さらに1万5000名の人々が、噴火を恐れて危険区域と宣言されていないものの噴火を恐れて自主避難した。

 

 

 

 日本語大辞典(講談社)によれば、「おそれ」には「怖がる気持ち」という意味と「よくない事の起りそうな気配」があり、漢字では前者は「恐れ」と書き、後者は「虞」と書く。しかし、昨今は「虞」という字が使われることはなく、大手マスコミも「噴火の恐れ」などと「恐れ」を使っているので、英語で表現するときは、これに惑わされてしまう。

 

 気象庁のいう「噴火のおそれ」を英語にするにあたっては、昨今の日本語的表現法から離れることが大事だが、これはたやすいことではない。

 

 

 

(引野剛司・甲南女子大学教授 5/10/2015)

 

 

  ここで紹介した表現は、米国での複数の実用例に基づいています。その他の実用例や関連表現は実用・現代用語和英辞典(本体)www.waeijisho.net)をご覧ください。

 

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