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英語世間話、これ英語でどう言うの?

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「ただ今、出張中です」英語で

2017年08月03日

 

 

 仮に、「ジム・トーマスさんはいらっしゃいますか」などと会社に電話がかかって来たとしましょう。

 

 

 Is Mr.Jim Thomas there? あるいは Can l talk to Mr. Jim Thomas?

 

 

あたりでしょうか。

 

残念ながらジム・トーマス氏はシカゴに出張していていません。日本なら、「トーマスはシカゴに出張していまして不在ですが……」なんて答えるのがオフィールの決まり言葉です。

 

しかしアメリカの職場では、たいてい

 

 

 

 He is out of town.  あるいは

 

 

 He is out of town on business.

 

 

 

という答えが返ってきます。Be out of townの文字上の意味は「町から出ている」「町を離れている」です。 これを、日本のオフィース語の「~は出張しています」という時に使うのです。ニューヨークなど大都会の会社であろうと、小さな田舎町の会社であろうと、変わりはありません。

 

州知事や市長などが出張中の場合にtownの代わりにstate かcity使ってもよさそうだと思いますが、やはりout of townです。実際の例を一つだけ 紹介しておきます。ネブラスカ州リンカーン市のサイトでみつけた一文です。

 

 

 

 Mark Bowen stated the Mayor is out of town, she left yesterday afternoon and shell be back on Thursday evening. "Directors' Meeting,City of Lincoln and Lancaster County, Nebraska 6/14/2004

 市長は出張中です。昨日午後出て、木曜日の夜、戻っていきます、とマーク・ボーウェンは述べた。

 

 

 

 さて、「出張」はbusiness tripだから、

 

 

  He is now on a business trip.

 

 

 

という言い方もあり、実際に使われていることを複数の用例で確認しています。しかしアメリカ人の口から自然に出ることばはHe is out of townが多いようです。

 

植民地の時代でも西部開拓の時代でも、アメリカの人びとの生活の単位はタウン(town)でした。果てしなく広がる大地にポツン、ポツンとtownが点在し、それを駅馬車などが結んでいました。人びとはたいていの用事は町中ですませ、町の外に出るのは危険ですらありました。

 

今日のアメリカでも、状況は基本的には変わっていません。長距離バスで旅をしてみると、アメリカの町というのは個々に独立した集落であることがよくわかります。森林地帯とか原野、あるいは小麦畑やとうもろこし畑、綿花畑を一直線に縫うようにハイウェイは作られています。

 

しばらくの間ハイウェイを走ると、町が現われ、バスは高速道路をおり、町中に入ります。小さな町なら10分もたたないうちに通り過ぎてしまい、再びバスはハイウェイに入り、またもや原野とか畑が眼前に出現します。この光景が繰り返されます。

 

ニューヨークやロサンゼルスといった大都会も例外ではありません。町中(ダウンタウン)と郊外(サアバブ)はひと目見ればわかります。郊外住宅地をはずれると、そこは森林あるいは砂漠です。日本の東京や大阪といった大都会のように町が帯状に連なっており、切れ目がないということはありません。

 

だから、 アメリカ人は、今、 自分は町のなかにいるのか、町の外に出ているのかという意識が常にあるようです。で、町の外に出ている人をさして

 


 

 

 

He is out of town.

 

 

と言うようになったと思われます。

 

これがビジネス社会のことばとして、今日も生きつづけているということになります。

 

 

(引野剛司・甲南女子大学教授 8/3/2017)

 

  

 

(本稿は拙著『おふぃーす英会話の決まり文句 こんな時どういうの』[ダイヤモンド社 1986年刊]の「ただ今、出張中」の項を基に簡略化・加筆し、更新したたものです)

 

 

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