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英語世間話、これ英語でどう言うの?

エッセイ一覧

「ポンコツ車」をclunkerというのを知った

2009年08月25日

「ポンコツ車」のことをclunkerと言うのを知った。7月、8月の「ニューヨークタイムズ」にはこの言葉が溢れていた。my clunkerだとか、cash for clunkers programなど。

私が作っている言葉のデータベースの「ポンコツ車」の項に入れているのは二つだけだった。

rickety car (リキティー・カーと発音し、つぶれそうな車をいう) と

lemon (ポンコツでも欠陥車をレモンという)

おかげでclunkerの用例を多数加えることができた。「インフォーマルな米語で、古い車、古くなった機械類」とイギリスのロングマン英英辞書にある。チェックをした。たしかに、自動車だけではなくパソコンについての「ニューヨークタイムズ」記事でclunkerを見つけた。

clunkerを流行語にし、ホワイトハウスの公文書でも使われるようにしたのは米議会だ。瀕死の米自動車産業を救済する法律をつくり、約2850億円を用意し、燃費の悪い旧型車をclunkersと呼んで現金下取りをディーラーにさせた。燃費のいい車への買い替えを促進し、環境問題にも対応しようというわけだ。

これをcash for clunkers program(ポンコツ車現金引取り制度)と名づけた。それで、clunkersに人々の関心が集まった。「ニューヨークタイムズ」のブログでもclunkers談義が盛んで、たとえば、

My clunker was a ’64 Ford Galaxie, logging maybe eight miles to the gallon on level ground.
私のポンコツ車は64年型のフォード・ギャラクシー。運転記録ではたぶん平地でガロン当たり8マイル(リッター当たり3.2キロ)

この制度は、ものすごい人気で、一旦、増額したものの用意した資金がなくなりかけ、もはや終了せざるを得ない状態になっている。で、ブログではこんなことを言っている人もいた。

There's apparently too many clunkers and not enough cash.
明らかにポンコツ車が多すぎて、十分な現金がない

私が10年ばかり前に買ったフォードの新車もまさにすぐに「ポンコツ」になった。アメリカが好きなので一度はアメ車をと思っていた。フォード・モンデオ・ワゴン。電動本皮シート、シート暖房、サンルーフなど装備もよかった。ほぼゼロに近い金利のローンも魅力だった。トヨタのクラウンが買える価格だったが、これにした。

購入後、小さなトラブル続きだった。エンジンの据付が悪く、固定しなおすというサービス連絡もきた。きわめつけは、購入後3年が過ぎてからだった。トランスミッションの調子が悪い。走れなくはないが、このまま高速道路を走るのは危険だと言われた。トランスミッションの保証、日本メーカーは5年だが、フォードは3年。修理は有料になり、30万円かかると言い、フォーカスという別のフォード車のパンフレットをセールスマンは持ってきた。一生、フォードは買わないと思った。

この日曜日の「サンデー・モーニング」というテレビ番組で、アメリカのどこかでclunkersを超大型の車でぶっ潰すという映像を見た。集められているのは一見して大型のアメ車ばかりのように見えた。

80年代に同じような光景をニュースで見たのを思い出した。議員がハンマーで車をたたきつぶしている映像だ。叩かれていたのは日本車だった。対日貿易の赤字が増大してジャパンバッシングがアメリカでは盛んなころだった。

時の流れとともに、日本車の評判は益々よくなっている。アメリカ人がcash for clunkers programで買い替えた、人気車ベスト・テンが米政府から発表されているが、2、3,4位とホンダのシビック、トヨタのカローラとプリウス。6位にトヨタのカムリ、9位にホンダのフィットが入っていた。1位はフォードのFocusだった。アメリカ製品に愛着をもっているアメリカ人が多数いることもわかった。

8月6日の「ニューヨークタイムズ」にこんな一節があった。

Japanese cars probably don't qualify as clunkers anyway! They all got good mileage.
いずれにしも、日本車はたぶんポンコツ車(買い取り制度)の対象とならない。全部、燃費はいいから。
 


(ひきの・たけし)

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