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英語世間話、これ英語でどう言うの?

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なぜ、「了解しました」を英語ではYou got itと言うのか

2018年05月06日

 

昨今、日本人の言語生活で「了解しました」「了解です」が増えているといわれています。メールのやりとりとか、オフィースの会話でも、よく使っているようです。私自身もしばしば使います。

 

アメリカでも日々の暮らしの中で、カジュアルな感じで「了解です」という言葉は、頻繁に使われています。どういうのかというと、

 

 

 

You got it.

 

 

です。

 

日本語発想で考えると「私が」了解ですと言っているのに、なぜ主語がyouなのか、不思議に思うかもしれません。

 

まず ”You got it.” の意味から。イギリスのCambridge Dictionaryネット版はインフォーマルなアメリカ英語として、次のように定義しています。

 

used to say that you will quickly do what someone has asked  you to do:

(Cambridge Dictionary; https://dictionary.cambridge.org/dictionary/english/you-got-it

誰かから求められたことをすばやく実行するときに言うのに使われる

 

 

で、次のような例が上がっています。

 

 

 

"Would you get me a coffee?"

「私はコーヒーをお願い」

 

 "Sure, you got it!"

「はい、了解」

 

おそらくこれは、「飲み物は何にしますかと聞かれた」というシチュエーションでの会話と思われます。て、「それではコーヒーをお願いします」と言うと、戻って来た言葉がyou got it.というわけです。つまり、ここのitはcoffeeで、「あなたはコーヒーをゲットします」が直訳です。

 

何かをリクエストした人に、「リクエスト通りのものをあなたは手にいれますよ」と答えるのが、アメリカ人が共有している言葉の使い方なのです。

 

これは「あなたの求める通り私はしますよ(I will do as you ask)」という意味ですから、日本語の「了解」「わかりました」に相当します。

 

この言い方は、アメリカの社会には定着をしていて、タクシーの運転手さんなども、行き先を告げられると、You got it.と答えます。「あなたは、目的地まで行けますよ」という言い方になります。職場で上司からの指示に対しても、使います。人気の「クリミナルマインド」や「NCIS」などの刑事もののテレビドラマではよく使われています。

 

では、本題のなぜ、アメリカでは、こんな言い方をするのでしょうか。

 

アメリカは、「主張する」国です。お互いに自らの欲するところ、望むところを言葉に出して、コミュニケーションをとるのが彼らの日々の言語生活の基本様式です。文化背景の異なる人々が暮らす多文化社会では言葉に出さないと、意図は伝わりません。

 

アメリカ人の頭の中には、こんな意識があります。

 

 

 

If you don't ask for it, you don't get it.

If you don't ask for it, you're not going to get it.

求めなければ、得ることはできない。

 

 

自分から口に出していわないと、欲しいものを手に入れることはできないという、言語社会なのです。親分自らが直接的に言葉に出さなくても、取り巻きが忖度をして、親分の求めるものを実現するという、どこかの国とは違います。

 

 

したがって、誰かが、自分はこうして欲しいと口にすると、You got it.と、答えるのが言語習慣となっているのです。

 

ところで、I got it.という言い方も、します。これも日本語では「了解しました」「わかりました」という意味になのですが、You got it.とは使われる状況が異なります。

 

使われるシチュエーションを二つ。

 

A:Don’t make the same mistake twice.

   同じ過ちを二度繰り返すなよ。

B: Yes. I got it.

はい、わかりました。

 

A:Did you understand the medical terms he used?

彼が使った医学用語、わかりましたか

 B:I got it.

はい、わかりました。

 

 

つまり、I got it.は、相手からの指示や命令に「わかった」「理解した」というときや、「~がわかりましたか」「~が理解できましたか」などという問いに対して、使います。つまり、頭の中で相手の言ったことが理解できたときの言葉です。

 

相手の要望を理解し、それを直ちに実現するときのYou got it、日本語発想にはない言い方ですから、われわれには意識しないと使えない言葉でしょう。

 

 

(引野剛司・甲南女子大学名誉教授 5/6/2018)

 

 

ここで紹介した表現は、おもに米国での複数の実用例に基づいています。その他の実用例や関連表現は実用・現代用語和英辞典(本体)(www.waeijisho.net)をご覧ください。

 

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