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英語世間話、これ英語でどう言うの?

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「不満が高まる」は英語ではどう言う

2018年05月30日

 

「不満」と言うとdissatisfactionで、語彙力のある人なら次にdiscontentが思い浮かぶのではないでしょうか。同じ意味の言葉なのですが、じつは使われる状況が微妙に違います。

 

たとえば「チーム内で不満が高まっています」とざっくりと言うときには、dissatisfactionでもdiscontentでもどちらを使っても表現できます。不満などが「高まる」ときはgrow (増大する)を通常使いますので、

 

 

 

Dissatisfaction is growing in the team.

 

Discontent is growing in the team.

 

 

 

と言えます。不満が高まっているのが「課内」ならin the section,「国内」なら in the countryとすればいいだけです。

 

別の言い方でも表現できます。

 

 

 

There is growing dissatisfaction in the team.

 

There is growing discontent in the team.

 

 

 

 

 

これらは「チーム内には、高まる不満(growing dissatisfaction、growing discontent)がある」という言い方で、日本語発想からはなかなか思いつかないと思いますが、英語の世界ではよく使われている表現の仕方です。(余談ですが、a growing dissatisfaction, a growing discontentと不定冠詞をつけている用例もあります。)

 

これらはすべて、おおまかには同じ意味を言っていますが、厳密にはdissatisfactionとdiscontentでは使われる状況は異なっています。

 

イギリスのMacmillan Dictionaryの定義をみれば、意味の違いがわかります。まず、dissatisfactionから。

 

 

 

the annoyed feeling that you get when something is not as  good  as you expected  it to be

こうであろうと期待していたものが、思い通りに得られなかったときのイライラした気持ち

 

 

 

 

 

次にdiscontent。

 

 

  the unhappy feeling that you have when you are not satisfied  with something

  何かに満足していないときのうれしくない気持ち

 

 

これらからわかるように、dissatisfactionは、想定していた結果やサービスが得られなかったときの不満をいう言葉。一方、discontentはある状態や状況に、満足できていないときの気持ということになります。

 

別の説明の仕方をすれば、dissatisfactionはspecificな状況に対応する言葉で、discontentはgeneralに状況を表現する言葉ということもできます。

 

受けたサービスとか、自分への成績評価、物事の判定など、「特定の状況・状態」での不満の感情がdissatisfactionで、これに対し長年、蓄積されてきた不満など、包括的、全般的に「不満感」をいう時がdiscontentです

 

ですから、Dissatisfaction is growing in the team./ There is growing dissatisfaction in the team.と言われれば、チーム内で何か具体的な問題がおき、これに対して、不満が高まっているのだな、と推測されます。

 

スポーツチームなら、監督やコーチの選手起用について一部選手が納得できず、この気持ちがチーム内に共有され、不満が高まっているときなどです。企業なら、チームの長の評価の仕方が納得いかないとか、指示の出し方がはっきりしないとか、多くのチームメンバーが特定の事柄に不満を感じているときなどです。

 

一方、Discontent is growing in the team./There is growing discontent in the team.という言葉を聞くと、たとえば、監督やコーチの選手起用や、指導法、日々のコミュニケーションの取り方など様々な不満要因があり、これらが蓄積され、包括的に不満が高まっているのかな、などと、推測できます。

 

少し長い文ですが、dissatisfactionとdiscontentの違いがよくわかる典型例を挙げておきます。

 

New populist parties of both the right and the left are taking advantage of public dissatisfaction with slow growth, trimmed social benefits, opposition to immigration, and the decline in ideological distance between the established left and right.

("Europe," Paradox of Progress,Global Trend,U.S. Office of the Director of National Intelligence, Accessed on 5/28/2018)

新興ポピュリスト政党は右派、左派とも、低成長、社会的便益の削減、移民反対、定着している左派・右派間のイデオロギーの距離の減少への国民の不満を利用している。

 

 

ここではslow growth, trimmed social benefits, opposition to immigration, and the decline in ideological distance between the established left and right(低成長、社会的便益の削減、移民反対、定着している左派・右派間のイデオロギー的距離の減少)などの具体的な事柄への国民の不満ですからdissatisfactionが使われています。

 

 

次はdiscontentの用例。

 

 

 

Iranians had been using the apps to communicate about the street demonstrations, the biggest outpouring of public discontent with Iran's clerical leaders since 2009 protests against the results of a disputed presidential election.

(Setareh Derakhshesh,"White House 'Very Concerned' About Iran Blocking Social Media," Voice of America News 1/1/2018 )

 

イラン人は、路上デモについてアプリを使って連絡を取り合っていた。このデモは、2009年の大統領選挙のもめた結果への抗議運動以来、イランの聖職者指導部への国民の不満のもっとも大規模な噴出だった。

 

ここは、Iran's clerical leaders(イランの聖職者指導部)への国民の包括的な不満ですから、discontentとなるわけです。

 

とはいうものの日々の暮らしのなかでは、dissatisfactionとdiscontentの辞書的な区別の認識というか語感には個人差があるようです。

 

「このレストランのサービスに不満だった」という場合、特定の状況での不満感ですからDissatisificationの動詞形dissatisfyを使って

 

I was dissatisfied with the service at the restaurant

 

 

 

 

というのがナチュラルな英語で、このようなシチュエーションではdiscontentは使わない、という意見をインターネットでみました(“discontent vs dissatisfaction,” Forum,alt.usage.english-Google Groups)

 

しかし、インターネットのOpentableというレストランガイドのページには

 

 

The food was excellent. I was discontent with the service.

(“OpenTable Diner (Washington DC),” 4.0 Dined on August 12, 2017)

 

と、contentを使って書いている人がいました(この人がネイティブがどうかは不明)。ただ、この場合、サービス全体に不満だと考えれば、discontentを使えるという解釈もできないことはありません。が、しかし、こういう使い方はナチュラルではないという意見があることは先に述べたとおりです。

 

ということは、英米における日常の言語生活のなかでは、dissatisfactionとdiscontentの辞書の語義の違いをはっきり意識しないで使っている人も、そうでない人もいるのでは、と言葉の世界ではあたりまえのところに落ち着くのですが、われわれ英語のノンネイティブ・スピーカーとしては、できるだけ辞書の語義にそって言葉を使うのが無難でしょう。

 

 

 

(引野剛司 甲南女子大学名誉教授 5/30/2018)

 

ここで紹介している表現は、米国での複数の実用例に基づいています。その他の実用例や関連表現は実用・現代用語和英辞典(本体)(www.waeijisho.net)をご覧ください。

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