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英語世間話、これ英語でどう言うの?

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「東京湾でクジラが目撃された」 を英語でいう三つの方法

2018年06月26日

 

 

東京湾でクジラが目撃され、話題になっています。

 

「クジラを目撃する」を英語で言うには、おおむね3通りあります。

 

まずはsightという動詞を使って表現する仕方です。「視力」とか「光景」という意味の名詞としてだけではなく、「目撃する」「見かける」という動詞でもよく使われます。めったに見られない野生の動植物などを「目撃した」時によく使われています。

 

で、sightを使って「東京湾でクジラが目撃された」 を言うと、

 

 

 

A whale was sighted in the Bay of Tokyo.

 

 

 

二つ目がspotです。クジラを発見したときによく使われます。これを使うと、

 

 

 

A whale was spotted in the Bay of Tokyo.

 

 

となります。

 

 

実は、ごく基本的な語seeを使うこともできます。「東京湾」と言わずに、「東京沖」と表現するとこうなります。

 

 

 

A whale was seen in waters off Tokyo.

 

 

 

 

 

です。ここのoffは「沖」という意味です。

 

これらの3つの言い方は基本的には同じ意味ですが、それぞれ、ニュアンスが少し違います。

 

微妙な違いは、英英辞書を見ればわかります。Oxford Dictionaryはsightを次のように定義しています。

 

 

Manage to see or observe (someone or something); catch an initial glimpse of.

(人や物)を何とかして見る、観察する。最初にちらっと見る。

 

 

 

この定義の後半部分が、クジラを東京湾で見たという時のsightにあてはまります。「一瞬、目撃する」いうニュアンスがsightには含まれているのです。だからUFOを目撃したというときにも、sightが使われます。

 

二つ目のspotのOxford Dictionaryの定義は、

 

 

see, notice, or recognize (someone or something) that is difficult to detect or that one is searching for.

見つけ出すのが難い(人や物)、探している(人や物)を見たり、気が付いたり、認識したりする

 

 

 

東京湾にはクジラはめったに姿を見せません。「見つけ出すのが難しい」クジラを見たわけですから、spotということになります。

 

 

一方、seeのOxford Dictionaryの定義は“perceive with the eyes”(目で感知する)です。自分の意思とは無関係に目に入ってくるものを見るのがseeなのです。

 

ですから、A whale was sightedと表現すると、クジラを目撃したが、すぐに見えなくなったというニュアンスが含まれています。A whole was spottedなら、なかなか見れないクジラが現れたという気持ちが込められています。A whale was seenは、単純にくじらが目に入って来ということだけを言っています。

 

大都会の海辺にクジラが現れると大きなニュースになります。2016年の11月、ニュヨーク市のハドソン川にクジラが現れたというので、地元のテレビや新聞が報道し、ちょっとした騒ぎになりました。

 

その時の記事を三つ紹介しておきます。ABC系列のローカールニュースのサイト、スミソニアン博物館のサイト、ニューヨークの大衆紙Daily Newsのサイト、から拾ったものです。

 

For the second time in as many days, a whale was sighted in the waters around New York City on Friday, this time in the Hudson River near the George Washington Bridge as well as from the Staten Island Ferry.

Bob Monek,"Whale spotted in the Hudson River," EYEWITNESS NEWS abcny 11/18/2016)

ニューヨーク市周辺の水域で金曜日、このところ2度目となるクジラが目撃された。今回はジョージ・ワシントンブリッジ近くのハドソン川とスタッテン島フェリーからだ。

 

 

 

As Bob Monek reports for ABC7NY, a whale was spotted in waters off of the Upper West Side this week.

Erin Blakemore, "New York’s Upper West Side Has Its Own Whale," Smithsonian.com, Smithsonian Institution 11/21/2016

ABC7NYのボブ・モネクが報じたように、今週アッパー・ウェスト・サイド沖の水域で鯨が目撃された。

 

 

The Coast Guard urged boaters to be cautious after a whale was seen near Liberty Island on Thursday morning.

( Lisa L. Colangelo,Thomas Tracy,"SEE IT: Whale seen near Statue of Liberty, prompting Coast Guard to warn boaters," New York Daily News 11/17/2016)

木曜日の朝、リバティー島近くで鯨が見られたため、沿岸警備隊は船舶に注意をするよう要請した。

 

 

 

Sight、spot、seeがそれぞれ使われています。繰り返しになりますが、めったに見れないクジラを「目撃したがすぐ見えなくなった」という気持ちを込めるときはsightかspot、「クジラを見たよ」淡々という時はseeということになります。

 

付け足しですが、アメリカではクジラがよく見られる場所が数多くあります。アラスカはもちろんのこと、太平洋岸沖、大西洋岸沖でもクジラを見ることができます。クジラの見えるところは観光名所となっており、「クジラが見れます」との表現が観光客向けのガイドなどに書かれています。

 

その時に使われる動詞はseeが一般的です。Sightもspotもめったに見れないものを見たときの動詞ですから、クジラがしばしば出現するケースで使うのは不適切だからです。

 

アメリカ国立公園局とアラスカ州のサイトからの例を挙げておきます。

 

 

This vantage point offers pleasant views of the Pacific Ocean and the New Point Loma Lighthouse. Whales are often seen from here in January and February.

("Cabrillo National Monument, California, National Park Service 3/31/2012)

この見晴らしのよい場所から、太平洋とニューポイントロマ灯台の景色は心地よいものです。1月、2月には、ここからクジラがしばしば見れます。

 

 

Humpbacks can be seen in Alaska's Inside Passage starting in April and May.

 ("Travel Alaska," State of Alaska, March 2018

ザトウクジラは、4月、5月からアラスカのインサイド・パッセージで見ることができます。

 

 

 

 

(引野剛司・甲南女子大学名誉教授 6/26/2018)

 

 

ここで紹介した表現は、おもに米国での複数の実用例に基づいています。その他の実用例や関連表現は実用・現代用語和英辞典(本体)(www.waeijisho.net)をご覧ください。

 

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