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英語世間話、これ英語でどう言うの?

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「イノシシに襲われた」を英語で言う

NEW!2018年12月06日

 

 

「イノシシ」はboarとかwild boar, wild hogという訳語がおおかたの和英辞書にはのっています。

 

これらのなかで、よく使われているのはwild hogと、手元の和英辞書数冊で「イノシシ」を引いても載っていないferal hogというのが私の印象です。Hogは「豚」で、pigと意味は同じです。Feralは「野生の」と言う意味でwildと同義です。

 

アメリカ人にもwild hog、feral hogはなじみのある野生動物のようで、新聞にもしばしば報道されています。日本同様、畑を食い荒らしたり、住宅地に出没し、人と遭遇するからです。一方、イギリス人の日常生活にはwild pigはあまりかかわりのない動物のようです。というのはイギリスでもイノシシはかっては狩りの対象であったのですが、13世紀ごろに絶滅したのだそうです(「イギリスの狩りの歴史」mway.hatenablog.com )

 

日本ではイノシシに襲われるという事件が発生しています。体当たりをされ、跳ね飛ばされたり、噛まれるなどの被害です。先日も、兵庫県の芦屋市で高齢女性がイノシシに襲われ、指をかみちぎられたというニュースが神戸新聞のネット版に載っていました。

 

熊やイノシシなど動物に「襲われる」というときに通常使われるのはbe attackedです。「高齢の女性がイノシシに襲われた」なら

 

 

 

An elderly woman was attacked by a wild hog.

 

ということになります。「兵庫県の芦屋市の路上で」という情報と「指をかみちぎられた」を付け加えるなら

 

 

 

An elderly woman was attacked by a wild hog on a street in Ashiya City, Hyogo Prefecture. She was bitten her finger off.

 

 

 

です。

 

アメリカでは人がイノシシに襲われることはめったにないようで、フロリダの野生動物の保護・管理をしていたという女性がFlorida Hikesというブログにこんなことを書いています。

 

 

 

I've worked for the agency for 35 years and I've never heard of anyone who has been attacked by a wild hog.

(Sandra Friend, "How to deal with feral hogs,"FLORIDA HIKES! 9/28/2011)

私はこの役所に35年間勤めましたが、イノシシに襲われた人など聞いたことがありません。

 

 

 

とはいえ、イノシシに襲われた事例はあるようです。「イノシシがほんとうに人を襲うのか?襲った(Do feral hogs really attack humans? These do…)」という見出しでイノシシに襲われ人の話が米サウスカロライナ州のEdgefield Advertiser紙にありました。

 

 

 

The Edgefield Advertiser reported,“A man was hospitalized recently after being attacked by a wild hog at his home on Gaston Road."

"Do feral hogs really attack humans? These do…(Pt. 1) " The Wildlife Journalist 6/20/2017

「男性が、ガストンロードの自宅でイノシシに襲われ、病院に搬送された」とエッジフィールド・アドバタイザー紙が報じた。

 

 

 

イノシシに追いかけられるという事件は結構アメリカでも起こっているようです。

 

裏庭に出没したイノシシを追い払おうとしたティーンエイジャーが、逆に追いかけられたという記事が米ジョージア州アトランタの有力紙Atlanta Journal Constitution(2013年9月25日付け)に載っていました。ここでもwild hogが使われ、「イノシシに追いかけられる」はbe chased by a wild hog、「イノシシを見かける」はspot a wild hogと表現されています。

 

 

 

Demarques Williams and his six siblings got a scare Monday evening when they tried to chase a wild hog out of the backyard of their Lithonia home.

It chased us back into the house,” he said. “I was scared at the moment it started chasing me,” said the 17-year-old who lives in the Stonebridge Woods subdivison where four wild hogs have been spotted over the past few days.

 (John Spinks,"Wild hogs scaring neighbors in Lithonia area," The Atlanta Journal-Constitution 9/25/2013)

ダマルケス・ウイリアムズ君と兄弟の6人は月曜日の夕方、リソアニアの自宅裏庭からイノシシを追い出そうしたところ、脅された。

「イノシシが逆に家の中まで追いかけて来たのです」と彼は言った。「追いかけられたときは怖かった」と、ここ数日間でイノシシ4頭が目撃されたストーンブリッジ森林の分譲地に住んでいるこの17歳の少年は言った。

 

 

 

先に上げたAtlanta Journal-Constitution紙の記事にはferal hogも使われています。「イノシシが近隣をうろついている」をFeral hogs are roaming the neighborhoodと表現しています。

 

 

The feral hogs are roaming the neighborhood, eating garbage in front yards and scaring people, according to neighbors and DeKalb County police.

John Spinks,"Wild hogs scaring neighbors in Lithonia area," The Atlanta Journal-Constitution 9/25/2013)

近隣住民やディカーブ郡警察によると、複数のイノシシが近隣をうろつき、前庭でゴミを食べ、人々を怖がらせている。

 

 

 

ノースカロライナ州のAshevile Citizen - Times 紙によると、全米36州でイノシシの生息が確認されているそうです。記事の書き出し部分にferal swine, wild boarが使われています。

 

 

 

 

Called "feral swine" by researchers, wild hogs or wild boars now have established populations in 36 states, up from 17 in 1982, according to Joseph Corn, a wildlife biologist at the University of Georgia's College of Veterinary Medicine.

(John Boyle, "Battling the wild boar," Ashevile Citizen - Times,Asheville, North Carolina 2/10/2015)

ジョージア大学獣医学部の野生生物学者ジョセフ・コーンによれば、研究者が「野生豚」と呼ぶイノシシは、1982年には17州に定着していたが、現在は36の州に増えている。

 

 

 

厳密な統計上の有意性はないのですが、いくつかの新聞のアーカイブを使って、feral hogs、wild hogs、wild pigs、wild boresがどれぐらい使われているのかを見てみました。

 

テキサス州ヒューストンの有力紙Houston Chronicleで最も多かったのはferal hogsで1,110件、次はwild hogsで856件、wild pigs、611件。Wild boarsは圧倒的に少なく8件でした。

 

カリフォルニア州サンフランシスコのSan Francisco Chronicle紙が運営するSFGateではFeral hogs が909件、wild hogs 764件、wild pigs 572件で、wild boarsはわずか 8件でした。

 

しかし、ジョージア州アトランタのAtlanta Journal – Constitution紙では、wild boarsが80件、次はferal hogsで78件、wild pigs 61件、wild hogs56件と4つの語の使用頻度には大差はありませんでした。

 

ちなみに、来年は「いのしし年(亥年)」。英語ではYear of the Pigと訳すのが一般的なようです。

 

 

(引野剛司・甲南女子大学名誉教授 12/6/2018)

 

 

ここで紹介した表現は、複数の実用例に基づいています。その他の実用例や関連表現は実用・現代用語和英辞典(本体)(www.waeijisho.net)をご覧ください。

 

 

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